the Flying Keg
World Beers


ORVAL
オルヴァル

醸造所:オルヴァル修道院

オルヴァルとは、フランス語で「黄金の谷」という意味で、このオルヴァル修道院の建立には言い伝えがあります。
イタリアのトスカーナから来た伯爵夫人がこの谷にある湖で大切な金の指輪を落としました。彼女が「もし指輪が手元に戻れば、お礼にこの谷に修道院を建てましょう。」と神に祈ると、一尾の鱒が指輪を加えて湖面にあらわれ、彼女の元に指輪が無事戻ったそうな・・・・・。

というわけで、婦人の指輪をくわえた鱒が、この修道院のシンボルとなり、ビールのラベルにも使われています。

オルヴァル修道院の歴史は古く、1070年にイタリア南部から来たベネディクト会修道士によって興され、間もなく略奪されて廃墟となり、その後、12世紀に、フランスのシャンパーニュから来た初期のシトー会修道士によって再建ました。しかし、今度は火災で焼け落ち、再々建をしたものの17世紀に紛争に巻き込まれ、またもや略奪されます。その後修道院は修復され、18世紀にビールづくりが再開されますが、今度はフランス革命でまたもや破壊されてしまいます

現在は1929年に築かれた建物で、ロマネスク・バーガンディという様式のもの。地面と平行に長く続く直線と、太く力強い柱。この様式の精神は、ビールのオリジナルグラスのデザインにも生かされているように感じます。

ベルギービールのボトルは日本の大手ビールメーカーと同様に、数種類のボトルを各醸造所が共有して、リターナブル瓶として再利用される場合が多いのですが、修道院でつくられているビールは、1ヶ所を除いてすべて、それぞれの修道院固有のボトルが使われています。
オルヴァルのボトルもこの修道院固有のもので、実にユニークな形をしていて、一見ボーリングのピンを思わせるデザイン。でも、ずーっと見ていると祈りを捧げる女性のようにも見えてきます。
とにもかくにも、ボトルの形、貼付されているラベルの形状、ロゴ、いずれも歴史ある修道院で醸造されている神聖なイメージを持ったとてもすばらしいもので、ベルギービールの中で一番優れたデザインだと思います。

オルヴァルは、炭酸ガスを多く含むビールなので、抜栓するとテレビの効果音のように「シュポッ」と良い音がします。日本のビールは発酵による炭酸ガスとは別に、炭酸ガスを加えているので、もともとガスは強く、それに慣れていると気付かないかもしれませんが・・・。

この勢いのあるビールを、聖杯をイメージした節のある大振りのオルヴァル専用グラスに注ぐのは実に壮快です。ベルギーのエールビールは酵母を完全にろ過しきっていないタイプのものがほとんどで、ボトルに入っている酵母のばらつきにより抜栓しただけでボトルからあふれだすものも多くあります。このオルヴァルは他のベルギーエールに比べてガスが強いのですが、ビールがあふれ出すことはありません。均一した発酵という面では、とてもクオリティーの高いものだと思います。他のベルギーのエールビルと醸造の違いを比較すると難しい話になってしまうのでこの場では省略しますが、比較的馴染みやすい味なのでぜひ飲んでみて下さい。