the Flying Keg
World Beers


WESTMALLE
(DUBBEL/TRIPEL)
ウェストマレ
(ダブル/トリプル)

醸造所:ウェストマレ修道院

アントワープの北、ウェストマレ村にある修道院で作られているビール。この修道院の創設は1794年で、 1836年からビールの醸造を始めました。
はじめは信徒だけの飲み物で、外部への販売をはじめたのは1870年から。しかし、購入できる人を ウェストマレ村の人に限定しており、1870年からは本格的な収益事業として一般に販売をはじめました。 ビールの醸造を手掛けてから一般の人に販売するようになるまで、実に85年もの年月を要したわけです。

この修道院で作られているビールは3種。シングルとダブルとトリプル。ダブルとかトリプルという名前の ビールをつくっている醸造所は何ヶ所かありますが、もともとはこの修道院が最初に使った言葉です。
これはビールの強さに由来するもので、当時読み書きのできない人でもどういうビールかが分かるように、 ○や×印、動物のモチーフの数などで表現したもので、印が2つでダブル、3つでトリプルと名付けました。 今のアルコール度数でいうとダブルで6〜7%、トリプルで9%前後。
熟成具合等も考慮してのビールの強さを示す表現方法なので、トリプルがシングルのちょうど3倍の アルコール度数というわけではありませんが、現在のアルコール度数の置き換えると○や×の数が1つで 3%ぐらいに相当します。

ダブルやトリプルと言う呼び方が解り易かったのと、この修道院のビールの味が良く人気となったので、 後に他の醸造所でもビールにこの名前を使うところがあらわれました。
今、Kegで扱っているものではウェストマレ以外に、ブリュッセルの北、ジュメのグリムベルゲン、 オランダのトラピストビールのラ・トラッペ、以前に取り扱っていたものではブルージュのステンブルッへ などがこの呼び方を使っています。

ウェストマレ修道院が作っているビールの中でも、特にトリプルはすばらしいビールだと思います。 トリプルと名のつく他の醸造所のビールに比べると淡い色で、フルーティーな芳香がありながらさほど 香りが前に出るタイプでもないので、グラスに注いだ時点では普通っぽいのですが、しかし一口飲んで 鼻から息を抜き、戻り香を感じる頃、舌の奥の両側で何か重みがまとわりついてきます。
舌のこのあたりは主に苦味を感じる場所なので、けっこう苦味もあるということなのでしょうが、 でもそれは決して前面に出ず、後でじっくり控えているって感じの印象です。 そしてそれがビールの味全体を引き締めて、まとまりのある味となります。

このビール自体は第二次世界大戦後に本格的に醸造されはじめたものですが、 ビールの醸造をはじめて85年間もの間一般に販売しなかった由緒ある修道院が、長年の醸造技術の経験 を生かし、第二次世界大戦後に満を辞して世に送りだしたビール・・・。 美味いはずですよね。